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家族信託と成年後見、どっちを利用する?


長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。


当事務所が業務提携しているトリニティ・テクノロジー株式会社の運営する家族信託Web「スマート家族信託」コラムを参考に、家族信託や生前の相続対策について考えていきます。


○トリニティ・テクノロジー株式会社Web↓



今回は、家族信託とよく比較されることが多い、国(家庭裁判所)が用意している制度である「成年後見制度」と「家族信託」について比べてみていきます。


法定後見制度と任意後見制度


成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」という2通りの方法があります。それでは、この「法定後見制度」と「任意後見制度」、それぞれの特徴を見てみましょう。


法定後見制度


「法定後見制度」が、一般的に「成年後見制度」と呼ばれている制度です。


この制度の特徴は次のとおりです。


①本人(被後見人)の判断能力が著しく低下した後に家庭裁判所に申し立てる

本人(被後見人)が住んでいる住所を管轄する家庭裁判所に対して、成年後見の申立書・診断書・手数料などを提出して申し立てを行います。(本人、配偶者、4親等内の親族が申立て可能となっていますが、申し立てる人がいない場合は市町村長が行います。)


②家庭裁判所所定の「成年後見制度専用」の診断書が必要

本人(被後見人)は物事を十分判断できなくなっているので医師の診断書が必要です。

この診断書は家庭裁判所所定の「成年後見制度専用」の診断書となります。


③申し立ての後、家庭裁判所にて審問・調査・鑑定が行われる

家庭裁判所は後見の開始の審判を行い、後見人を選任します。

この決定に不服申立がなければ、後見人が審判書を受け取った2週間後に成年後見が確定します。

もし、本人・配偶者・4親等内の親族(申立人以外)が、審判について不服があれば、審判書を受け取った2週間以内に、不服申立を行わなければなりません。



任意後見制度


任意後見制度は、法定後見制度と異なり、本人(被後見人)に十分な判断能力があるうちに後見契約を結んでおく方法です。


この制度の特徴は次のとおりです。


①本人(被後見人)に十分な判断能力があるうちに後見契約を結ぶ

代理人(任意後見人)の資格などに制約はなく、任意の相手と契約をすることが可能です。

親族を任意後見人とするほか、弁護士・司法書士・行政書士など、法律専門職やNPO法人などの専門機関に依頼するケースもあります。


②本人(被後見人)の判断能力が不十分になった場合に代理権を付与する

本人(被後見人)自らの判断能力が不十分な状態になった時に、自分の生活・療養看護・財産の管理などの手続きに関する代理権を代理人に与えます。

この場合には、「任意後見監督人」の選任申立てを家庭裁判所に行います。


③任意後見契約は「公正証書」で作成

任意後見の代理権は、生活・財産など本人の生活において極めて重要な内容を含むため、任意後見契約は「公正証書」を作成しておく必要があるとされています。


このように、任意後見は法定後見制度とは大きく特徴が異なります。


家族信託と成年後見制度の違い


それでは、家族信託と成年後見制度(法定後見制度)の違いを比較してみましょう。

できること・できないこと、メリット・デメリット、費用などをまとめました。


家族信託にできて、成年後見制度にできないこと

①任せる相手方を自由に選ぶこと

②本人の死後の財産の行方を、あらかじめ決めておくこと(遺言的機能)

③任せる権限を細かく設定すること(財産雄売却は委託者の同意がなければできない等の定めを置くこと)


成年後見制度にできて、家族信託でできないこと

①本人の代理人として法律行為(訴訟等)を行うこと

②本人の代理人として、銀行の手続き等を行うこと

③本人が行った法律行為を後から取り消すこと(※)

※成年後見人は、本人が行った法律行為について取り消すことができる権限を持ちます(日用品の購入等以外の行為のみ)。

もし詐欺などに遭い大きな買い物などをさせられてしまった場合など、後見人がその買い物を取り消すことができます。


家族信託と成年後見のメリットとデメリット


家族信託のメリット

①契約内容を工夫することで自由な財産管理が可能

②遺言の機能を持たせることができる

③委託する相手を自由に決められる

④手続きが比較的簡単

⑤受託者の報酬を低く抑えることもできる

⑥委託者が財産を把握した上で管理を任せられる


家族信託のデメリット

①成年後見制度のように本人の代理人にはなれない

②委託者と受託者の2者間での契約であるため、他の親族間でのトラブルに発展しやすい


成年後見のメリット

①後見人が本人の代理人となり、あらゆる手続きや法律行為を行うことが可能

②本人の行為について取消権を有するため、詐欺被害などを回避できる


成年後見のデメリット

①手続きが煩雑である

②成年後見人を自由に決められない

③成年後見人に対して報酬を支払わなければならない

④本人のためにしか財産を活用できないため、資産の有効活用や相続対策などができなくなる



家族信託と成年後見に係る費用

家族信託と成年後見制度の費用については、次のような違いがあります。


家族信託の費用

①家族信託の内容決定や契約書作成、登記のために専門家に支払う費用

おおむね信託する財産の1%程度(最低金額として30万円程度という設定がされている場合が多い。)


②不動産を信託する場合

登録免許税 不動産の固定資産評価額×0.4%(5000万円の不動産なら20万円)


③公正証書作成手数料

5万円~10万円程度の場合が多い。


《例》仮に預金2000万円と3000万円の不動産を信託した場合の手数料

 ①専門家報酬(信託財産の1%)=50万円

 ②登録免許税(不動産の評価額の0.4%)=12万円

 ③公正証書手数料(概算)=5万円          合計:67万円


成年後見の費用

①成年後見の申立書作成手数料:15万円~30万円


②後見開始後、後見人に支払う報酬:毎年、年間24万円~72万円程度

成年後見で専門家が後見人となった場合、毎年報酬を支払わなければならず、基本的に本人(被後見人)が亡くなるまでずっと続くという点に特徴があります。

仮に成年後見を開始してから5年後に本人が亡くなり、その間の年間の報酬額が30万円だったとした場合、成年後見のトータルコストは、申立の手数料も含め180万円にも上ります。


また、後見人の報酬は本人の保有している財産額に応じるため仮に本人が500万円以上の現預金を保有していた場合は、年間の後見人報酬は約72万円が目安となります。


これを5年間継続すると合計360万円、申立手数料も含めると390万円と非常に高額になる可能性があります。


家族信託と成年後見の利用のための条件


家族信託・成年後見制度を利用するための条件は、次のような違いがあります。


◎家族信託の場合…信託財産の所有者について判断能力に問題がないことが必要


◎成年後見の場合…本人に判断能力がない場合にしか利用することができない


そのため、例えば本人が肉体的な問題で自力で生活ができなくなってしまった場合、成年後見制度の利用ができない点には大きな注意が必要です。


家族信託・成年後見の任務終了までの期間


任務終了までの期間については、次のような違いがあります。


◎家族信託の場合

契約の際に信託終了の理由を定めていれば、その理由に該当した場合に信託は終了する。

終了理由を定めていなくても、委託者と受益者の合意によって終了が可能。


◎成年後見の場合

制度上は、成年後見が必要な理由が解消した場合に終了する。

ただし認知症によって成年後見が開始した場合には、通常、認知症から回復した時点までが任務期間となるため、実質的には本人が亡くなるまで期間が継続することが一般的です。


家族信託のメリットとは?


「改正信託法」により本格的にスタートした家族信託では、親との合意で子などの家族が財産を管理できる契約をし、高齢者が認知症になった後も、裁判所や専門家の関与なしで、家族内で財産管理を継続できるようになりました。


家族が事前に財産管理を行うことで、親が亡くなった後も遺産をスムーズに相続人へ引き継ぐことができるため、生前から相続準備も兼ねることができます。


家族信託のメリット① 手続きが比較的簡単


1つ目のメリットとして、手続きが比較的簡単である点です。


成年後見制度は家庭裁判所に申し立てをする必要があり、高齢者の財産管理者(後見人)の選定もすべて家庭裁判所が行います。


さらに、後見人の選任申立て手続きは煩雑で提出書類も多く決定までに期間を要します。


一方、家族信託では基本的に財産の管理を依頼する高齢者と管理を引き受ける人が合意した上で、契約書を作成すれば成立するという手軽さがあります。


つまり家族信託は成年後見制度と比べると手続きが簡便であり、依頼する人と引き受ける人の負担も軽くなるという点が大きなメリットです。


家族信託のメリット② 基本的に報酬が不要


2つ目のメリットは報酬の面です。

成年後見制度では、後見人は業務として高齢者の財産を管理するため報酬が発生します。


しかも報酬額は家庭裁判所が決めることになっており、決められた報酬金額に従って支払わなければなりません。弁護士等の専門家が後見人になると、報酬額も負担となります。


家族信託では親族内で管理を行うので、報酬は基本的に発生しないと考えることもできます。親族への負担だけでなく、被後見人(親などの高齢者)の財産の減少も抑えることができます。


家族信託のメリット③ 委託者が自分の財産を把握できる


3つ目は、親などの高齢者が判断能力を有するうちに信託契約を結ぶことができ、契約した後でも自分の財産を把握しやすいという点です。


基本的に成年後見制度では、認知症などで判断能力が著しく低下した段階で親族が家庭裁判所に申し立て、後見人に財産の管理権を預ける制度となります。


そのため高齢者やその親族は、財産が現在どのような状態になっているか把握しにくいという面があるのです。


家族信託であれば「依頼する高齢者」と「引き受ける親族」が、契約を結んだ時点で財産の管理が始まるため、身内で財産を把握しやすい状態で管理することができます。


家族信託の欠点とは?


このように、家族信託なら財産を自分たちで管理しやすいというメリットがあります。

しかし、家族信託にもいくつかの欠点がありますので確認しておきましょう。


家族信託の欠点①

まず1つ目のデメリットは、信託としては身上監護ができない点があります。


身上監護とは、高齢者が認知症などにより施設入居などが必要となった際に、代理で法的契約を行う行為です。


成年後見制度の後見人であれば、当然の職務として本人の代理人として手続きを行うことが可能ですが、家族信託の「受託者」としては制限されています。


成年後見制度では財産管理だけでなく身上監護を含んでいますが、信託においては委託者の財産管理を中心とし、身上監護を目的に含まないからです。


例えば老人介護施設の入所手続きや入退院の手続きなど、身の回りの手続き関連には制限があるため、このような場合は通常「家族」が本人に代わって手続きを行います。


このように、身内としては手伝いのつもりでも受託者としては制限があるため注意が必要です。


家族信託の欠点②

家族信託のデメリットの2つ目は、受託者(財産を管理する人)を選ぶ際にトラブルになる可能性がある点です。


家族信託は、財産を持っている委託者と受託者の2者の合意で成立します。

手続きは成年後見制度に比べると、かなり簡便です。


しかしだからこそ委託者(高齢の親など)の財産が受託者の名義に変わるので、受託者以外の親族から異論が出ることが多々あります。


・他の親族が知らない間に信託契約が成立していた

・その財産を信託するとは知らなかった

などといった、指摘を受けることもあるでしょう。


財産の使い込みの懸念や相続予定の財産への不安など、さまざまな思惑が出てくる場合もあるのです。


一方の成年後見制度については、家庭裁判所が後見人を選任するため親族からの不満が出にくく、その点で安心感の高い制度だといえます。



家族信託と成年後見制度を適正に活用する判断基準は?


それぞれに特徴を持つ家族信託と成年後見制度ですが、必要な制度をどのように選択し活用していったら良いのでしょうか。


(1)まず、高齢者が自身の財産管理に不安を覚えているかどうかがポイントです。


高齢者ご自身が不安を感じている場合は、家族信託を利用することが適切と考えられます。

今後の財産管理について、誰に任せていくか、どのように管理していくかを本人の意思で決定できるため安心感の高い対策が可能だからです。


(2)財産管理の不安に加えて将来の生活についても不安がある場合には、任意後見制度を併用する方法もあります。


(3)本人が将来の生活についてのみ不安を覚えている場合には、任意後見制度の活用を検討します。


高齢の方の将来の生活を考えるうえでは、財産管理と身上監護はいずれ両方とも必要になるとも考えられます。

周りの親族は、それ以外の部分も視野に入れながら、今後の対策について検討していくのが良いでしょう。


(4)本人が認知症などによって意思能力を失ってしまっている場合には、成年後見制度を利用します。


意思能力を失ってしまっている以上、契約行為である家族信託や任意後見はもはや利用することができません。


そのため、成年後見制度の利用しか選択肢が残されていない(4)の状況になる前に、

(1)家族信託や(2)任意後見制度の利用について、早い段階で検討しておく必要があります。


この点は、周囲の親族のサポート次第だといえます。


サポート方法の検討はお早めに


高齢者の財産を管理したり保護したりする方法には、家族信託と成年後見制度があります。

ただし、どちらの制度にもメリット・デメリットがありますので、2つの制度の内容を十分理解した上で、最適な選択ができるよう検討しましょう。


押さえておくべきポイントは4)成年後見制度に頼る段階になると、家族信託という選択肢はなくなるという点です。


そのため「将来的に家族信託などのサポートが必要かもしれない」と気づいた段階で、本人が元気なうちに早めに検討していくことが重要な備えとなるでしょう。


相談は「ディアパートナー行政書士事務所」へ


家族信託は比較的新しい制度であるため、たとえ法務系士業(弁護士、行政書士、行政書士)や税理士といった士業であっても、制度に詳しい士業は極めて少なくいため、実績のある専門家にご相談することをお勧めします。


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