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  • takizawa62

家族信託の具体的事例(Cさんの場合)

家族信託の具体的事例(Cさんの場合)

ここからは、実際にあった事例に基づいて、家族信託の具体的な利用方法をご紹介していきます。



ご相談者様と専門家の会話を通してご理解頂ければと思います。




※【Cさん】はご相談者様、【専門家】は行政書士や司法書士、弁護士など専門家の言葉です。



3 障害者支援のための家族信託


今回の相談者は、知的障害を持つご長男を持つCさん(65歳)です。今は、Cさんがご長男と一緒に暮らしていますが、自分にもしものことがあったら、ご長男の世話を誰がするのか、心配だということでご相談を頂きました。


【Cさん】わたしには、長女と長男がおりますが、長男が生まれつき知的障害をもっており、一人では生活できない状態です。主人が2年前に亡くなってから長男と二人で住んでいますが、私に万が一のことがあった場合は、長女に長男の面倒を見てやってほしいと考えています。幸い、夫が私に遺してくれた賃貸マンションから毎月家賃収入がありますので、今は経済的に困る事はありません。私がいなくなってからのことについて、どのような準備をしておけばよいのでしょうか?

【専門家】ご長男のことが心配なのですね。ご長女には配偶者やお子様はいらっしゃいますか?


【Cさん】はい、長女には配偶者と三人の子供がいます。


【専門家】承知いたしました。


【Cさん】先ほども申し上げたとおり、今は、夫の遺してくれた賃貸マンションが私の名義になっており、その家賃収入で私と長男の生活費を賄っています。


【専門家】なるほど。それでは、Cさんに、もしものことがあったときに、その賃貸マンションを管理し家賃収入を使ってご長男の生活をサポートする方が必要ですね。


【Cさん】そのとおりです。実は、長女にはずいぶん前からこの話はしておりまして、私になにかあった際には賃貸マンションの管理と長男の面倒を見ると言ってくれています。 しかし、長女にはなるべく面倒をかけたくないと思っています。私が生きている間にできる準 備はありますか?


【専門家】Cさんにできることはありますよ。家族信託という制度はご存知ですか?


【Cさん】ええ、少し聞いたことがあります。財産の所有者が、家族に財産を託して、管理を任せることができる制度と聞いています。

私達のような場合でも、家族信託が使えるのですか?


【専門家】はい。次のような家族信託を行うとよいでしょう。

■家族信託契約の内容■

◆委託者Cさん ◆受託者長女

◆受益者Cさん及び長男ただし、Cさんの没後は長女及び長男

◆信託財産賃貸マンション


【Cさん】私の名義の賃貸マンションを娘に信託するということですね。


【専門家】その通りです。Cさんが亡くなってしまった場合に備えて、財産をご長女に信託し、ご長女が管理処分できる状態にしておくわけです。


【Cさん】では、家族信託を始めるのは、私が死んだ時からでいいのですか?


【専門家】Cさんが、お亡くなりになった時から信託を開始するというのも一案です。しかし、Cさんがお元気なうちから、家族信託を初めておかれることをお勧めします。


【Cさん】なぜでしょうか?


【専門家】Cさんが認知症を発症してしまった場合にも、財産を管理する人が必要になります。Cさんがお元気なうちに家族信託を開始しておくことで、Cさんの認知症対策としての効果も得られるためです。

実際には、この認知症対策のためだけに家族信託を活用される方も数多くいらっしゃいます。家族信託で 認知症対策をしておくことで、裁判所や成年後見人といった第三者に介入されてしまう成年後見制度の利用を回避することが可能となります。


【Cさん】確かにそうですね。私が認知症になってしまった場合も、長女にマンションの管理をお願いしなければいけませんね。

では、すぐに家族信託を始めた場合のことを教えてください。実際には、どのようになりますか?


【専門家】家族信託をすると財産の所有権がご長女に移転します。そのため、信託後の財産の管理、処分はすべてご長女が行うことになります。


【Cさん】現在の入居者さんとの賃貸借契約はどうなりますか?


【専門家】現在の入居者さんとの契約は、受託者であるご長女がそのまま、賃貸人の立場を引継ぐことになります。毎月の家賃も、受託者であるご長女が受け取ることとなります。


【Cさん】なるほど。毎月の家賃も一度長女が受け取ることになるのですね。では、私と長男の生活費は、どう賄えばよいのですか?


【専門家】先ほどご説明した今回の家族信託の概要をもう一度ご覧ください。受益者がCさんとご長男として設計してあります。


【Cさん】受益者とは、どういう立場の人のことですか?


【専門家】受益者とは、信託財産の経済的な価値を受け取る立場の人です。このケースの場 合ですと、不動産の賃料収入は、最終的にはCさんとご長男の生活費として使いますので、受益者はCさんとご長男のお二人となります。


【Cさん】なるほど。入居者さんから、賃料収入を受け取るのは長女だけれども、最終的にそのお金を使うのは、受益者である私と長男というわけですね。分かりました。

肝心の、私が死んだあとはどうなりますか?


【専門家】これは、遺言と同じく、Cさんが自由に定めることができます。ただし、Cさんの亡き後、ご長男のみを受益者とするとご長女の相続人としての権利を侵害することになりますので、今回のケースでは、ご長女とご長男の二人を受益者としています。


【Cさん】長女の権利も守られるのですね。安心しました。ここで、また一つ不安なことがでて きました。長女は、現在四十歳、長男は、35歳です。長男より先に長女に万が一のことがあった場合には、どのようになりますか?


【専門家】そのような場合に備えて、受託者の後継者を予め定めておくことができます。


【Cさん】頼めるとすれば、孫(長女の息子三人)のうち誰かになりますが、全員未成年で、誰に頼めばいいか今の段階で決めるのは難しいのですが・・・


【専門家】そうですよね。そのような場合には、受託者の後継者を保留にしておいて、家族信託を始めてから決めるということもできますので、安心してください。


【Cさん】なるほど。いまのうちにわからないことは、保留にしてもいいのですね。


【専門家】はい。ただ、いつまでも保留にしてしまうと、その間にご長女に万が一のことがあったときに困ってしまいます。なるべく早めに決めておくことをお勧めします。


【Cさん】わかりました。これは少し言いにくいことなのですが、万が一、長女が当初の約束を破って不動産を売ってしまったりしてしまうことはあり得るのでしょうか?


【専門家】家族信託は、信託される財産とその管理方法を信託契約に定めておくことで完成します。その信託契約の内容に、受託者の判断で不動産を売却することはできない旨を定めておけば、問題ありません。

この契約書の内容は、不動産登記簿に反映されるので、ご長女が不動産の売却を行うことはできなくなります。


【Cさん】では、万が一、長女が自分の責任をすべて放棄してしまった場合にはどうなるのでしょうか?


【専門家】そういった場合に備えて、信託監督人という立場の人を設けることができます。信託監督人とは、受託者が信託契約の内容に沿った財産管理をしているかを監督する立場の人です。

ご長女が、自らの責任を放棄してしまった場合には、受託者の解任や後継者の選任を、信託監督人が行うよう定めておけば安心です。


【Cさん】信託監督人は、だれにお願いするのがよいですか?


【専門家】信頼できる親族や、信託に精通した専門家に依頼することが可能です。私達が信託監督人になることも可能です。


【Cさん】そうですか。それは安心です。早速、家族信託の受託者になってくれるか長女に相談してきます。でも、長女にとってあまりメリットのない家族信託の受託者を、引き受けてくれるか少し不安です。


【専門家】ご長女に受託者を依頼する際には、信託報酬を定めることができます。受託者の業務をきちんと行った報酬として、信託財産から拠出される報酬です。


【Cさん】それも含めて、長女と相談してみます。


【専門家】ぜひ、そうしてください。


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