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  • takizawa62

家族信託の具体的事例(Fさんの場合)


ここからは、実際にあった事例に基づいて、家族信託の具体的な利用方法をご紹介していきます。



ご相談者様と専門家の会話を通してご理解頂ければと思います。




※【Fさん】はご相談者様、【専門家】は行政書士や司法書士、弁護士など専門家の言葉です。



6 自分が所有しているマンションの管理を、贈与税を支払わずに息子に移管したい

75歳のFさんは、木造アパートを2棟とマンションを1棟所有している不動産オーナーです。現役時代にコツコツと保有物件を増やし、今では不動産からの家賃収入だけで生活できるようになりました。

しかし、各物件ともに築年数の増加に伴い、修繕や賃借人との交渉、入居者の確保など、対応しなければならない事柄が増えてきました。反面、Fさん自身は年齢を重ねるにつれて徐々に体力が落ち、不動産の管理の負担が重く感じるようになってきました。何とか不動産管理の負担から解放される手段はないかと考えるようになりました。

Fさんには、将来、財産を相続する息子がいますが、息子に管理を任せるにしても、無償で不動産を渡してしまうと多額の贈与税が発生してしまうことを知り、どうにもできずにいました。そんなとき、テレビで家族信託の存在を知り、専門家に相談してみることにしました。

【Fさん】こんにちは。早速ですが、私はアパート2棟とマンション1棟のオーナーとして、家賃収入を得て生活をしています。昔は毎月十分な収入を不動産から得ることができ、大変満足していたのですが、最近は建物の老朽化やそれに伴う入居率の低下、家賃の減額交渉などが発生してきており、建物の補修や入居者の募集、賃借人との交渉などに追われることも多くなりました。

しかし私も今年で75歳。歳のせいでしょう、ここ数年はこのような不動産の管理業務が非常に億劫で、直に体調を崩してしまうのではないかと心配をしています。息子に譲るにも、多額の贈与税がかかるようではできません。しかし、家族信託という手法を使えば贈与税を支払うことなく息子に不動産の管理を任せられると知り、詳しく知りたくて相談に上がった次第です。よろしくお願いいたします。

【専門家】こんにちは。アパート、マンションを3棟も保有、管理されているなんて素晴らしいですね。うらやましいです。現役時代に大変ご活躍されたのでしょうね。敬服いたします。

さて、不動産の管理を贈与税の支払いをせずに息子さんに引き継ぎたいということですが、確かにそれは家族信託の手法を用いれば可能です。家族信託とは、簡単に言いますと、財産のオーナーがその管理権限を家族に託す契約行為なのですが、税金の課税は「信託された財産から利益(=家賃)を得る人が誰か。」という点で判断されます。(この財産から利益を得る人のことを信託法上の用語では「受益者」といいます。)

Fさんの場合は、この受益者をFさん自身に設定すれば、息子さんに管理権を渡しながら、贈与税は一切支払わなくてよい、という状態を作り出すことが可能です。

問題は、息子さんが何の見返りもなくこの役割を引き受けてくれるかですね。この点はいかがですか?


【Fさん】息子は仕事の類がきらいな性格なので、何の見返りもなくお願いをしても断られてしまうかもしれません。


【専門家】そうですか。そのような場合には、受託者(管理を託される人)に対する報酬を設定することも可能です。


【Fさん】なるほど。それであれば、息子も引き受けてくれるかもしれません。

【専門家】では、息子さんが信託報酬を受け取る形で契約内容を作ってみましょう。おおむね次のような内容になります。

■家族信託契約の内容■

◆委託者Fさん  ◆受託者Fさんの息子  ◆受益者Fさん

◆信託財産Fさんが所有するアパートおよびマンション

◆信託報酬月10万円

【専門家】このような信託契約をすることで、贈与税が発生することなく、息子さんに不動産の管理を託すことができます。

息子さんは見返りがないと引き受けてくれなさそうということでしたので、報酬として月に10万円受け取れる内容としました。


【Fさん】ありがとうございます。月に10万円受け取れるなら、息子は喜んで管理を引き受けてくれると思います。本当は月10万円では見合わないほど作業はたいへんなのですが、息子には良い勉強になるでしょう。ちょうどいい機会です。

【専門家】そうですか。息子さんの将来のためにもなるのですね。素晴らしいです。素敵なお父様をもって、息子さんは幸せ者ですね。


【Fさん】いえいえ、今まで少し甘やかしすぎたところがありましたから。

今更かもしれませんが、息子にはしっかりと勉強してもらいますよ。では、息子に話して、また伺わせていただきます。よろしくお願いいたします。


【専門家】はい、よろしくお願いいたします。


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