長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
当事務所が業務提携しているトリニティ・テクノロジー株式会社の運営する家族信託Web「スマート家族信託」コラムなどを参考に、家族信託について考えていきます。
○トリニティ・テクノロジー株式会社Web↓
そもそも家族信託とは?
高齢者の財産管理として最近、注目を集める「家族信託」ですが、そもそもどのような制度なのでしょうか?
「家族信託」について、約7分間にまとめた動画がありますのでまずはご覧ください↓
動画でもご紹介していますが、信託できる主な財産として「預貯金(現金)」、「不動産(農地を除く)」が挙げられていますが、「株式」は信託財産にできるのでしょうか?
株式は信託できる?
家族信託においては、財産的価値があるものであれば理論上信託が可能となっています。
しかし、手続き上の問題等から信託が難しい財産も存在します。
では、株式は信託できるのでしょうか?
結論からいうと、株式の信託は可能です。ただし、上場株式は証券会社によっては家族信託が難しい場合もありますので注意が必要です。
それでは株式の種類別に見ていきましょう。
上場株式の信託
「上場株式」とは、取引所に上場されている株式のことです。いわゆる公開されている株式銘柄のことです。上場株式は証券会社の口座で保有することになります。
こうした証券会社の口座を通じて保有することとなる上場株式を信託財産とする場合には、
その証券会社に受託者名義の口座を開設する必要があります。
しかし、証券会社によっては受託者名義の口座開設に対応していない場合があります。むしろ対応していない証券会社の方が多いのが現状で、対応していても利用条件に要件が課されている場合も少なくありません。
受託者名義の口座開設に対応している証券会社に保有する株式を移管することで信託財産にすることができます。対応していない証券会社に株式が保有していて、証券会社を変えたくない場合は、実質的には信託ができないこととなります。
受託者名義で口座開設が可能な証券会社は増えているようですが、対応していない証券会社では、分別管理義務を遂行できないということになってしまうため、信託を行うことはできません。
受託者名義で口座開設が可能な証券会社においても、その利用要件が厳しい証券会社もありますので、よく検討して検討することが必要です。(あえて「上場株式を信託財産にはしない」という選択肢もあるかもしれませんね。)
先ほども記載したとおり、上場株式を別の証券会社(受託者名義で口座開設が可能な証券会社)に移管をすれば信託は可能ですが、委託者が現在の証券会社と既に深い付き合いがある場合も多いと思いますので、「上場株式」に関しては「信託ができる場合とできない場合がある」という表現のほうが正しそうです。
非上場株式の信託
「非上場株式」とは、取引市場のない株式のことです。いわゆる未公開の株式のことです。
中小企業の株式会社の多くの株式がこの非上場株式に該当します。
この「非上場株式」に関しては、会社法の規定に従い、該当の会社に依頼して株主名簿の書き換えを行うことで、「家族信託が可能」です。そして、その手続きの難易度も高くなく、比較的簡単に行うことができます。
自社株式の信託
「自社株式」とは、経営者が保有している自社の株式のことです。(ほとんどが非上場株式です)
自社株式が非上場株式であれば、株主名義の書き換えを行うことで信託が可能です。
「自社株式の信託」は、会社の事業承継対策としてよく活用されるケースとなっています。
その他有価証券・金融商品の信託
投資信託などの金融商品は上場株式と同様、口座を保有している証券会社が家族信託の口座開設に対応しているかどうかで、家族信託ができるのかが決まります。
ただし、投資信託は、上場株式のように別の証券会社に移管することがもともと難しく、口座を保有している証券会社で家族信託の口座開設(=受託者名義の口座開設等)が難しい場合には、家族信託をすることは困難です。
今回は「株式の信託」について考えてみましたが、「事業承継」を検討するうえでも「自社株式の信託」などは欠かせないパーツになります。
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