長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
家族信託や遺言などは、当事者に判断能力があってこそ対応が可能になりますが、認知症の発症などで判断能力が失われてからでは行うことはできません。
判断能力が失われたあとの対策はふたつ。
家庭裁判所が関与する「法定後見」か、「相続発生までガマンする」しかありません。ガマンするのは対策ではありませんね~(笑)
相続発生ということは、その方がお亡くなりになるということですので、生前には何も行うことができなくなります。
また、後見人による法定後見についても、家庭裁判所の管理下となり、財産の弾力的な運用はできずに、硬直的な管理に留まります。
では、認知症対策の予防対策は?
それでは、認知症には何が影響するのでしょうか。また、何が認知症の予防に良いと考えられているのでしょうか。
今回は相続関連の「認知症対策」ではなく、医学的な見地に基づいて「認知症の予防」について、考えていきます。いつもとはちょっと違った切り口で考察してまいりましょう。参考にするのは、2023年5月18日付け日経Gooday(グッデイ)「認知症の予防 栄養の多様性・腸内細菌・脂質が影響」の記事からです。
超高齢社会を迎えた日本では、認知症患者の増加などにより、近年、「認知症の発症予防」への関心が高まってきています。
年齢を重ねても元気な脳を維持し、認知症の発症を予防するためには、健康なうちにどんなことに気を付けていればよいのでしょうか。
これまでの研究によって、脳の老化には日々の食事が深く関わる可能性が明らかになってきています。今回の記事では、日本人の老化のプロセスを20年以上にわたって追跡している国立長寿医療研究センターの疫学研究で得られた知見を基に、脳の老化と食事・栄養の関係や、認知症の予防に役立つと考えられる食習慣について、同センター老化疫学研究部部長の大塚礼さんが解説されています。
日々の食事は脳の機能や構造に影響する!
「認知症にならずに元気に長生きしたい」――超高齢社会を迎えた今、これは多くの日本人に共通する願いだと思います。
年齢を重ねても元気な脳を維持し、認知症の発症を予防するためには、健康なうちの今からどんなことに気を付けていれば良いのでしょうか?
認知機能に関してはさまざまな研究が進んでいますが、その中でも脳の老化に深く関わることが分かってきたのが、「日々の食事」です。日本人は「和食」という独特の食文化を持っていますが、それは私たちの脳にどのような影響を与えているのでしょうか。
そして、認知症になる人、ならない人、その個人差を生み出すものは何なのでしょうか。
そうした答えを探る研究が、国立長寿医療研究センターで20年以上にわたって行われているそうです。今回は、現時点で明らかになっている脳と食事の密接な関係についてご紹介いただき、これまでに得られた研究成果から、脳の健康を守るための食事のヒントを探っていくこととします。
「脳と栄養素の深い関係」がポイント
まず、脳と食事から摂取する栄養素には、どのような関わりがあるのかをひもといていきましょう。近年の研究からは、以下のような関連が示されているといいます。
1)脳の主なエネルギー源はブドウ糖で、それ以外の栄養素も脳に取り込まれて、脳の機能に影響を与えている
2)食べたものを消化・吸収する腸と脳には、相互に作用し合う「腸脳相関」があり、食事による腸内細菌叢(そう)の変化が認知機能に影響する可能性がある
3)脳の乾燥重量の半分はアブラ(脂質)で構成されている。細胞膜にはDHAやアラキドン酸が多く、これらは生体内産生量が少ないため、食事から取り込む必要がある。
「血液脳関門」にはさまざまな栄養素を取り込む「鍵穴」が存在
脳は身体の機能をコントロールしたり、会話や思考といった知的な機能、あるいは喜怒哀楽や情緒といった精神的な機能を発揮したりする、重要な役割を担っています。
そんな脳の主なエネルギー源となるのは、食事から摂取した炭水化物が体内で代謝されてできるブドウ糖(グルコース)で、「成人の脳の重量は体重の2%ほどですが、1日に必要とされるエネルギー量の20〜25%は脳が消費するといわれています。脳はかなり大食漢な臓器です」と大塚さんは解説しています。
ただ、脳が正常に機能するためには、エネルギー源となるブドウ糖以外の栄養素も必要となります。
「代謝や情報の伝達には、ビタミンB群や葉酸、カルシウム、亜鉛などが働いています。また、脳の構造や神経伝達物質の材料には、脂肪酸やアミノ酸が使われています。これらの栄養素の多くは、日々の食事を通して体内で代謝され、血液などを介して脳に供給されていると考えられます」と大塚さん。
脳には「血液脳関門」という関所のような役割を果たす部位があり、かつては、分子の大きな物質や栄養素は基本的には血液脳関門を通過できないと言われてきたそうです(大塚さん)。
「しかし近年では、血液脳関門にはさまざまな栄養素の受け皿となる受容体が複数見つかっています。受容体は鍵穴のようなもので、受容体があるということは、そこに鍵となる栄養素が入り込めることを意味してします。食事で摂取した栄養素がどれくらい脳に取り込まれているかは明らかになっていませんが、受容体から多くの栄養素が脳に入り、脳の代謝に関わったり、脳の構造や神経伝達物質の材料として利用されたりしていることが分かりつつあります」(大塚さん)
この血液脳関門の栄養素を取り込む機能は、加齢とともに衰えて、認知機能の低下をはじめとする脳の機能障害にも関わることを示唆する研究報告も出てきているといいます。
認知症患者とそうでない人の腸内細菌には違いが見られる
脳から腸へ、腸から脳へと相互に情報伝達が行われ、作用し合うことを「腸脳相関」と呼ぶそうです。緊張するとおなかが痛くなったり、下痢をしたりする経験のある人は多いでしょう。これも腸脳相関を表す現象の1つだそうなのです。
脳がストレスを感じたときに、その情報が腸に伝わり、腸の機能に影響して腹痛や下痢を引き起こすと考えられます。一方、腸で生じた何らかの変化が脳に伝わり、脳の機能に影響を及ぼすこともあります。「腸脳相関で情報が伝達される経路には、免疫系、内分泌系、腸管神経系(迷走神経)が関わっていると考えられています」と大塚さんは話します。
国立長寿医療研究センターのもの忘れセンター外来では、腸内細菌と認知症についての研究が行われており、認知症患者とそうでない人では、腸内細菌の組成に違いがあることが示されているそうです。認知症患者の腸内細菌には、認知症ではない人に多く見られる常在菌のバクテロイデスの割合が少なくなっていたということです。
「この研究成果は、食べたものによって腸内細菌が変化して、脳に影響を及ぼしている可能性も示唆しています。つまり、私たちが日々の食事から摂取している栄養素は、腸で消化・吸収された後、代謝や迷走神経を介して、脳の機能に影響していると考えられるのです」(大塚さん)
脳の半分はアブラ DHAなどが細胞膜の柔らかさを維持?
日々の食事が脳と密接に関わっていることは、脳を構成する物質という観点からも分かるそうです。前述で、脳の構造や神経伝達物質の材料には、脂肪酸やアミノ酸が使われていることに触れましたが、「脳を乾燥させると、重量の50〜60%は脂質だといわれています」と大塚氏は話ます。
特に、細胞膜には多価不飽和脂肪酸が多く、その約60%を「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が占めているのだそう。脳全体の脂肪酸の割合で見ても、11%はDHAだといいます。DHAは、青魚などに豊富に含まれる脂肪酸のひとつです。
「細胞膜の脂肪酸の構成は、部位や年代によっても違いがあります。例えば、DHAは前頭前野の灰白質(神経細胞体が集まる領域)に、同じ多価不飽和脂肪酸のアラキドン酸は海馬に比較的多い特徴があります」(大塚さん)
前頭前野は脳の司令塔とも呼ばれ、思考や感情、会話やコミュニケーションといった高度な精神活動を担う部位です。海馬は記憶をつかさどる部位で、いずれも脳の認知機能に深く関わっています。
それではなぜ、脳の細胞膜にはDHAやアラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸が多いのでしょうか。
「多価不飽和脂肪酸は炭素が複数連なる長鎖脂肪酸で、多価不飽和脂肪酸の多い細胞膜は流動性が高く柔らかい特徴があります。あくまで仮説ですが、脳は他の細胞とのつながりや神経伝達物質などのネットワークを良くするために、細胞膜を柔らかくする必要があり、そのために多価不飽和脂肪酸が多いのではないかと考えられています」と大塚さん。
脳内のDHAやアラキドン酸の量は加齢によって減少するという研究報告や、アルツハイマー病の患者では、脳の細胞膜を構成するリン脂質のDHAやアラキドン酸の割合が減少しているという研究報告もあるといいます。
DHAは体内ではほとんど合成することができない必須脂肪酸です。アラキドン酸は、リノール酸が体内で代謝されることで合成されますが、広義では必須脂肪酸に分類されています。そのため、DHAもアラキドン酸も、大半は食事で摂取する必要があります。
DHAは、多価不飽和脂肪酸のうちn-3系に属し、サンマ、サバ、マグロなどの青魚の脂質に多く含まれています。n-3系の多価不飽和脂肪酸には、DHAのほかにエイコサペンタエン酸(EPA)があります。EPAも必須脂肪酸で、サバやイワシなどの青魚の油脂に豊富に含まれるといいます。
DHAやEPAは動脈硬化を抑制する作用が知られているので、「健康に良い脂質」というイメージを持つ人は多いことでしょう。DHAやEPAは、海に生息するプランクトンで生成されるため、魚の摂取量が少ないと不足しやすくなるようです。
一方、アラキドン酸は、肉や魚、卵といった動物性の食品に広く含まれています。それにもかかわらず、耳慣れない印象があるのはなぜなのでしょうか。
その背景には、多価不飽和脂肪酸のn-6系に分類されるアラキドン酸には、炎症反応を促進する作用があることが影響していると、大塚氏は話しています。
「アラキドン酸には炎症作用があることから、一般的にはとりすぎると害になると考えられることが多いのです。しかし、脳にはアラキドン酸が豊富という事実を踏まえれば、アラキドン酸は脳にとっては欠かせない栄養素であることは確かだと思います」(大塚さん)
認知症予防に良いとされる「地中海食」、では「和食」は?
では、認知機能の低下や認知症の発症を防ぎ、脳の健康を守るためには、日々の食事でどんなものを、どのように食べていけばいいのでしょうか。
認知機能の低下や認知症の発症予防に効果的とされる食事に「地中海食」があります。
地中海食とは、イタリアやギリシャ、スペインなどの南ヨーロッパを中心とした地中海沿岸の国や地域の伝統的な食文化を意味しています。
旬の野菜や果物、多価不飽和脂肪酸の供給源である魚介類のほか、豆・ナッツなどの種実類、全粒穀類を多く食べ、油脂は主にオリーブオイルを使用。鶏肉、チーズやヨーグルトなどの乳製品、赤ワインもほどよくとるといった食事様式です。
「地中海食が認知機能の低下や認知症の発症を抑制する可能性を示す研究成果は数多く報告されています。ただ、地中海食は日本ではあまりなじみのない食文化で、日本人を対象とした研究は少なく、その効果も明らかにはなっていません」(大塚さん)
私たち日本人の食事といえば、主食の米飯に、みそ汁などの汁物、魚や肉の主菜、野菜を主体とした副菜を組み合わせた物が一般的です。こうしたいわゆる「和食」と呼ばれる食文化は、世界的に見ても珍しい食事様式だと、大塚さんは話しています。
日本人独特の食事様式が、認知機能の維持や低下にどのように影響しているかを検討している研究はまだ少ないのが現状です。
「数少ない研究の中ですが、大豆や大豆製品、野菜や海藻類、牛乳や乳製品を多く含み、米などの穀類は控えめな食事が認知症予防に効果的という研究成果を発表しています。また、魚類、野菜類、きのこ類、海藻類、漬物、大豆製品、緑茶を多くとるような日本食を食べている人ほど、認知症の発症リスクが低いと報告されています。」(大塚さん)
認知機能を維持する食事のカギは「多様性」
それでは、国立長寿医療研究センターの老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」では、どのような研究成果が得られているのでしょうか。
「『NILS-LSA』が開始された背景には、当時、超高齢社会の到来が予見されていたにもかかわらず、日本の中高齢者を長期にわたって追跡したデータがほとんどなかったことが挙げられます。そこで、日本人の老化の過程を明らかにする研究が開始されました。その後、認知症に対する社会の関心が次第に高まってきたことから、私たちも認知機能低下に関する解析に注力するようになってきました」(大塚さん)
研究での詳細な食事調査から、認知機能保持との関連が示された食品には、穀類、乳製品、緑茶などが挙げられるといいます。栄養素では、血液中のDHA濃度が高い人のほうが認知機能低下のリスクが低いことなども明らかになっています。
乳製品や緑茶は、摂取量が多い人のほうが認知機能低下のリスクが低かったのですが、穀類の場合は、摂取量が多い人のほうが認知機能の低下リスクが高い(認知機能が低下しやすい)という結果になりました。ただし、同じ穀類でも米には認知機能との相関は見られず、うどんやそうめんといった小麦をベースとした麺類の摂取量が多い人に認知機能の低下が見られたと、大塚さんは話しています。
「その理由を検討してみると、小麦ベースの麺類自体が認知機能を低下させているわけではなく、うどんならうどんだけ、そうめんならそうめんだけ、といった単品で済ませる食習慣の影響が大きいのではないかと思われました。そこで私たちは、おかずが少ない食事が認知機能の低下につながるという仮説を立てて、食事の多様性に着眼した研究を進めたのです」(大塚さん)
その結果明らかになったのは、「さまざまな食品を摂取する、多様性のある食事をしている人ほど、認知機能が維持されている」という点です。
まとめ
やっぱり、そこに落ち着きましたか。という感じがしますね。現時点での研究結果では「多様性のある食事」を意識して摂ることが「認知機能の維持」につながるようです。
これは「認知症の予防と食事」の関係だけで、しかも現時点で明らかになってきている研究成果だけですので、まだまだ解明されていない領域も多そうです。
また、今回は食事以外の生活習慣(たとえば運動習慣など)については言及されていませんので、総合的な見地からみた認知症対策は、まだまだこれからの研究課題なのでしょう。
そして、他の疾病も同様のことがいえますが、この食事をしていたから「認知症を予防できた」ということはいえないのでしょう。発症のリスクが少なくなることはあっても、100%予防というのはかなり難しいのではないでしょうか。
腸内細菌の働きなども含めて、「多様性のある食事」を意識的に摂取していくのが良さそうですね。わかりやすくいえば、「おかずの種類を増やす」とか、「外食は単品より定食」といった工夫をしていくということでしょうか。いずれにしても日々の意識的な努力が必要です。
認知症対策は事前の準備が肝心です!
今回は、いつもと異なり、健康・医療面から「認知症の予防」について考えてみました。
現時点では「確立した予防方法がある」というのではなく、認知症発症のリスクが少なくなりそうな予防方策、しかも食事面のみ、といった感じでしょうかね。
したがって、認知症になって判断能力が失われた場合の対策をしておくことが大切になります。(もし、発症せずに判断能力を保ったままで一生を終えることができれば、それはそれで大変幸運なことです。)
判断能力がなくなってしまった場合は、「法定後見」を申し立てるしか方法がありません。判断能力がある場合は、遺言や家族信託、任意後見はじめ各種契約など様々な手法を取り入れることが可能です。
シニアといわれる年代に入ったら、ご自身やご家族が困らないように「認知症対策・相続対策」を準備しておくことをおススメします。
対策の手法は、それぞれの生活環境や家族構成などによって百人百様といわれておりますので、アナタにとって最適な「認知症対策・相続対策・事業承継」の方法をご相談しながら考えていきましょう。
ディアパートナー行政書士事務所では、遺言をはじめ、家族信託、任意後見、生前贈与など総合的な生前の相続対策を専門に扱っておりますので、安心してお任せいただくことができます。
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