
長野県松本市で「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
当事務所が業務提携しているトリニティ・テクノロジー株式会社の運営する家族信託Web「スマート家族信託」コラムなどを参考に、家族信託について考えていきます。
○トリニティ・テクノロジー株式会社Web↓
前回のブログでは「家族信託を活用した不動産の活用事例」3つをご紹介しました。
不動産を信託財産にすることには、メリットもあれば注意すべき点もあります。
今回は「不動産を信託財産にした場合」のメリット・デメリットを考えていきます。
不動産を信託財産にするメリット
まずは、不動産を信託財産にした場合のメリットからです。
①認知症になっても不動産の売却ができる
前回の事例にも挙げられていたケースです。
認知症になってしまい判断能力を失ってしまうと契約行為ができません。したがって自分では不動産を売却することができなくなってしまいます。
自分が元気な間は自宅に住みつつ、万一認知症などで判断能力が失われた場合は自宅を売却して施設に入所したいと考えているケースでは、家族信託を利用することで、認知症になった後に信頼する家族に自宅の売却について託すことができます。
ただし、家族信託は判断能力があるうちでないと組成することができません。判断能力が失われた場合、成年後見制度を使うことしか選択肢がありません。
後見制度を使った場合でも、自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要で、簡単ではありません!
②不動産を承継する人の順位付けができる
家族信託を利用すると、不動産を相続させる順位を指定できます。
遺言書の作成でも不動産を相続させる人を指定することはできますが、その場合には、二代先の相続が発生した場合の相続人を指定することはできません。
一方、家族信託の場合には、自分が亡くなった後、財産を引き継ぐ方のみでなく、その方の次に財産を引き継ぐ方(二代先の方、例:孫)についても指定することができます。
③任意後見よりも自由に不動産の管理、運用ができる
認知症の対応策として、事前に契約を結んでおく任意後見という制度があります。
任意後見制度は、意思能力を失った本人に代わり、任意後見人が本人の財産の管理などをする制度です。
任意後見制度は、本人が元気なときに、家族などの任意の方を後見人に指定して契約をしておく制度で、いわゆる後見制度(認知症発症後の方について、裁判所が選任した専門家が後見人となる制度)と比して、融通性に長けると言われています。
しかし、任意後見制度の場合、必ずしも不動産を自由に管理、運用できるわけではありません。家庭裁判所の関与があり、基本的にリスクのある資産運用などは制限されています。
また、毎年裁判所への報告書を提出する必要があるなど、後見人の負担も大きいものがあります。
こんな場合は家族信託を利用する方が、不動産の管理、運用、処分などの自由度が高くなります。
④共有不動産のトラブルを避けることができる
共有の不動産は、共有者全員が同意しなければ売却などの処分行為ができないため、不動産を活用できないまま塩漬け状態になってしまうケースも多くみられます。
家族信託を利用することで、不動産の財産的価値は複数の子どもに共有させて平等にしながらも、受託者は一人だけとして、管理・運用・処分を一人の判断で容易に行えるようにすることができます。

不動産を信託財産にするデメリット(注意点)
つぎは、不動産を信託財産にした場合のデメリット・注意点です。
①受託者にふさわしい家族がいなければ活用は難しい
家族信託を利用する場合、信頼できる家族の中に、不動産の管理や処分を適切に行う能力のある人がいるかどうかがポイントとなります。
信頼が置けてかつ能力の高い家族がいれば安心して受託者に選ぶことができますが、そのような人がいなければ自分の不動産を安心して託すことは難しくなります。
また、ほかの家族が受託者の能力や人間性などに不満を持っている場合、親族間トラブルの原因になってしまう可能性もあります。
②節税効果があるわけではない
不動産を信託財産とした場合でも、節税効果があるわけではありません。
不動産を信託財産とすることで、不動産の評価が下がったり、不動産を相続する際に減税があるわけではないからです。
信託の登記の登録免許税など、むしろ税負担だけで見れば、若干大きくなる可能性が高いでしょう。節税効果を期待することはできないので、認識を誤らないようにしましょう。
③自分の意図しない処分行為がされてしまう場合もある
家族信託を利用して、不動産の売却などの処分行為についての権限を受託者に与えた場合、受託者は自分一人の判断で不動産の売却等ができます。
自分が想定していたのとは違うタイミングで不動産を売却されてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
受託者は、自分一人の判断で不動産を売却できるとは言え、その判断は信託契約に定めた目的に沿ったものである必要があるため、信託の目的をしっかりと作り込んでおくこともポイントです。
④信託の登記などの手間がかかる
不動産を信託財産とした場合、その不動産が信託財産であることを公にするために、信託の登記を行います。
信託の登記は通常司法書士に依頼をして行いますが、この時には司法書士に支払う報酬が発生します。また、自分で手続きをすることもできますが、その場合には法務局に出向いたり登記の方法を調べるなど、相当の手間がかかります。
まとめ
前回ブログから引き続き、信託財産としての「不動産」についてみてきました。
メリットもある一方、デメリットもあるので「家族信託の利用」には注意が必要です。
家族信託は比較的新しい制度であるため、たとえ法務系士業(弁護士、行政書士、行政書士)や税理士といった士業であっても、制度に詳しい士業は極めて少なくいため、実績のある専門家にご相談することをお勧めしています。
また、家族信託を活用するには、判断能力があるうちでないと使うことができませんので注意が必要です。元気で判断能力がしっかりしているタイミングが「家族信託組成」の最適期といえます。
もし、認知症などで判断能力が失われた場合は、家族信託を組成することができませんので
、家庭裁判所が関与する「法定後見制度」を使うしか選択肢がありません。
「家族信託」や「遺言書」「生前贈与」などの生前の相続対策は「判断能力があるうち」に施すことが重要です!

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ディアパートナー行政書士事務所では、国内有数の家族信託実績を有する企業(トリニティグループ/トリニティ・テクノロジー株式会社)と業務提携しながら作業を進めますので、安全安心な全国トップ水準のサービスをご提供することが可能です。
また、当事務所は「後見人」になることのできる行政書士としても登録されていますので、成年後見制度についてのご相談にも対応することが可能です。
昨年サポートさせていただいた事例で、「家族信託」「遺言書」「スマート家族信託」「インターネットバンキング」を利用し、首都圏に住む受託者が、長野県内在住の委託者兼受益者の親御さんの家族信託を運用するケースがあり、受託者の負担軽減が図られています。
「家族信託の活用」などのお問い合わせや初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
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