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  • takizawa62

介護費用捻出には必要?:具体的事例(Bさんの場合)

更新日:2023年1月29日

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」、「任意後見」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。


業務提携しているトリニティ・テクノロジー株式会社(トリニティ司法書士法人)の文献(※)を参考に、家族信託について解説します。

※「資産を守り笑顔を咲かせる、家族信託~資産承継の新たなアプローチ~」

○トリニティ・テクノロジー株式会社Web↓



ここからは、実際にあった事例に基づいて、家族信託の具体的な利用方法をご紹介していきます。ご相談者様と専門家の会話を通してご理解頂ければと思います。


※【Bさん】はご相談者様、【専門家】は行政書士や司法書士、弁護士など専門家の言葉です。



2 介護費用捻出には、家族信託が必要!?

85歳の父を持つBさん。 お父さんの介護が必要になり、ご相談を頂きました。


【Bさん】私には、85歳になる父がいますが、母は、3年前に他界し、他に兄弟もいません。 少し前まで、父が一人で住む実家へ通い、父の生活の面倒を見ていました。

しかし、父が、体調をくずし入院したことをきっかけに、認知症を発症し、一人での生活が難しくなりました。

【専門家】それは大変ですね。お父様の健康状態は、いかがですか?


【Bさん】少し前に比べて、体調も良くなってはいるのですが、物忘れが多くなってきています。私の自宅で、父を介護することも考えたのですが、私の家は大きくないのでそれは難しく、父には介護施設に入所してもらうことにしました。


【専門家】そうですか。介護施設は、見つかりましたか?


【Bさん】はい。よさそうなところが見つかり、父も気に入ったみたいです。しかし、その施設は、入居金で数百万円、月々の生活費も数十万円かかることがわかり、その費用を捻出するために、父の名義になっている実家を売却するしかないと思っています。不動産屋に相談してみたところ、買主を探してくれるということだったので、お願いをしました。ただ、一つ気になることを言われたのです。


【専門家】どのようなことですか?


【Bさん】もし、買主が見つかっても、それまでの間に父の認知症が進行してしまい、意思能力を喪失してしまうと、売買契約が締結できないかもしれない。と言われたのです。これは本当なのでしょうか?


【専門家】それは、心配ですね。残念ながら、不動産屋さんのおっしゃっていることは、本当です。売買契約の締結は、法律行為です。もし、お父様の認知症が重症化して、意思能力がなくなってしまった場合には、売買契約を締結することができなくなってしまうのです。

すなわち、事実上の資産凍結状態となってしまいます。通常、不動産の買主を見つけるには、 数カ月かかることもありますので、対策しておく必要がありますね。


【Bさん】私たち家族のようなケースでできる対策はあるのでしょうか。


【専門家】ご安心ください。家族信託という制度を使えば、このようなケースに非常に有効な対策を講じることができます。


【Bさん】そんな制度があるのですか。具体的には、どのようなことをするのですか?


【専門家】不動産を家族信託するには、大きく次の2つのことを行います。

①信託契約を締結する。

②不動産の名義の変更を行う。

それぞれご説明しますね。


【Bさん】お願いします。


【専門家】まずは、「①信託契約を締結」します。 信託契約とは、予め定めた内容に沿って、受託者が委託者の財産を管理、処分することを取り決める契約です。Bさんの場合ですと、次の要領になります。

■家族信託契約の内容■

◆委託者父(元々の財産の所有者) ◆受託者Bさん(財産の管理処分を行う。)

◆受益者父(財産から経済的な利益を受け取る。)

◆財産不動産(自宅)

◆信託の目的不動産の売却及び売却代金として得た金銭の管理(介護費用の支払い。)


【Bさん】受益者とは、どういう立場の人ですか?


【専門家】受益者とは、不動産の経済的な利益を受け取る立場の人です。このケースの場合 ですと、不動産の売買代金は、お父様の介護費用のために使いますので、お父様が受益者となります。


【Bさん】なぜ、家族信託が、今回のケースの対策になるのでしょうか?


【専門家】信託をすると不動産の所有権は受託者(Bさん)に移ります。したがって、家族信託を行った後は、不動産の売買契約の締結や、売買代金の受領、介護費用の支払いなどは、すべて受託者(Bさん)が行うこととなります。お父様に意思能力が無くても、Bさんがお元気でいれば、問題なく不動産を売却できるのです。


【Bさん】なるほど。所有権が移るため、②不動産の名義の変更が必要なのですね。


【専門家】そのとおりです。不動産についての信託契約を締結したら、不動産の名義の変更をします。不動産の名義は、不動産登記簿に登記されていますので、登記手続きを行って、名義を書き換えます。

そうすることによって、きちんと現在の所有者がBさんであり、Bさんがこの不動産を売る権限を持っているということが誰からみても、分かるわけです。


【Bさん】不動産が私の名義になるのですね。では、私の好きなように不動産を使えるわけですか?


【専門家】そうではありません。あくまで、信託をされた不動産なので、どのように不動産を管理、処分するかは、信託契約で予め定めた管理処分方法に基づいて行う必要があります。


【Bさん】どのような管理処分方法を定めるのが一般的ですか?


【専門家】多くの家族信託では、受託者が不動産を柔軟に管理、処分できるように、受託者の自由な判断に委ねるような内容になっています。しかし、もし希望があれば、不動産の売却はできるが、賃貸はできないといった内容の契約にすることもできます。


【Bさん】後からなにがあるかわからないので、できる限り柔軟に判断できるようにしておいた方がよさそうですね。


【専門家】そうですね。管理処分方法を自由に定めることができるのも、家族信託の利点の一つです。


【Bさん】ところで、父が私に、不動産を信託している事実や、特別な管理処分方法があることは、他人にはわかるのでしょうか?


【専門家】はい、だれでも把握することができます。信託された不動産の登記簿には、信託財産である旨が記されます。また、信託契約書の内容の一部も反映されます。つまり、登記簿を見れば、Bさんが家族信託で受託者となっていることや、どのような管理処分方法が定められているのかがわかるのです。


【Bさん】そうですか。家族信託を行う方法については、なんとなくですが分かりました。では 、実際に、不動産を売却するときはどうなりますか?


【専門家】受託者(Bさん)が、売主となり、買主さんと、売買契約を締結します。手続きに必要な印鑑も、受託者のものを使います。


【Bさん】受託者である私と買主さんとの間で、売買契約を締結すればいいのですね。その際に、父の同意は必要ですか?


【専門家】お父様の同意は必要ありません。ただし、信託契約の内容に、「不動産を売却する場合は、委託者の同意が必要」である旨の規定がある場合には、お父様の同意が必要になります。今回のようなケースでは、そのような規定は入れない方がよいでしょう。


【Bさん】そうですか。私一人の判断で、売却ができてしまうわけですね。では、不動産の売買代金はどうなりますか?


【専門家】不動産の売買代金も、受託者であるBさんが受け取ります。受け取る際には、Bさんが最初から持っていた金銭と区別するために、信託専用の銀行口座「信託口口座」を作り、そこに預金をして管理をするのが実務上の取り扱いです。


【Bさん】信託口口座ですか。それは、誰の名義の口座ですか?


【専門家】受託者の名義となります。ただし、普通の口座とはことなり、「○○(委託者名) 信託受託者○○(受託者名)信託口口座」などの要領で、信託専用の口座であることが、通帳の記載からわかるようにしておきます。 金融機関によっては、このような特殊な口座の作成に対応していない場合もありますが、最近では、多くの金融機関で開設できるようになっています。


【Bさん】では、売買代金は、その信託口口座で管理をし、介護費用や、父の生活費などは、そこから支出すればいいのですね。


【専門家】そのとおりです。


【Bさん】早速父と相談してみる必要がありますね。


【専門家】是非ともそうしてください。


今回の事例、いかがでしたでしょうか。


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具体的な開催日時、開催場所は、ディアパートナー行政書士事務所専用Webで告知しているほか、一般社団法人家族信託普及協会Webのセミナー開催のお知らせでも告知していますので、お気軽にご参加ください。


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